バトルスタディーズ36巻

僕はこう見えて中学、高校は野球をしていました。
ばっちこーい!と大声張り上げてましたし、テスト期間中以外は土日祝日も朝から晩まで練習ばかりでどっぷり浸かっていました。
というとびっくりされることが多いのですが、これは本当で、高校でも野球をやると決まったら、野球好きの父に連れられて東京の”isono(いその)”というメーカーのショールームみたいなところに連れられて、「社会人やプロはここの使ってる人が多いんだ!」と道具を揃えてもらったり、小学生の頃は新聞紙を溶かして糊とガムテープで固めてボール作って、トスバッティングして遊んだりしてました。
そこで表題のバトルスタディーズなのですが、著者の”なきぼくろ”さんは元PL学園(野球の超名門校)でレギュラーで甲子園行った経験の持ち主。そのなきぼくろさんの経験を元にしつつ描かれた高校野球漫画なのです。曲がりなりにも高校野球をしていた身としては、とてもとても面白く、たまらない気持ちになったりして読んでいます。週刊モーニングで連載していて8年目。高校野球をしていない人たちにも受け入れられ、楽しまれているのだと思います。それもそのはずで、キャラクターが魅力的で、人物の内面描写がエグいのです。(作中によく”エグい”という表現が出てくる。すごいの意味と解釈しています)高校生という多感な時期、私立の高校で寮生活の野球漬けという特殊な環境。そこで生まれる様々な感情と人間関係、仲間、家族とのやりとり。野球というスポーツのゲーム性、エンタメ性の高さも伝わってきますし、特に最新36巻はすごい。さっくり伝えますと、主人公たちが3年生になって最後の夏、新入生で能力めちゃ高い子が入ってきました。しかしその子が闇を抱えた問題児。夏の大会前に問題を起こしてしまいます。その出来事に対する先輩たちの寄り添い方がたまらない。そして描写の仕方。絵がある漫画なのですが、行間があるっていうのかな、余白があるっていうのかな、寄り添っているんだけどすべてを包み込むわけでなく、読み手にも考えさせてくれる感じがまた心地よく。読み応えありすぎて、ゲットして2日で5回読んでしまいました。漫画は絵の好みもあると思うのですが、頭の片隅に置いておいていただいてですね、もしどこかで目に入ることがあったら手を伸ばしてみてくださいね。「バトルスタディーズ」。とても素敵な物語の漫画です。