想い通りに織る

今日は秋の展示会に向けてストールを織り始めました。
シンプルでプレーンな印象のストール。
そして、織りながらふと思いました。
織りを始めた頃は、こんなシンプルなものは織れなかったなって。
織りたいものを織ることは変わらないのですが、あの頃は、織りながら完成したデザインが浮かび始めたらあえてそこから離れるように織っていました。
見えないところへ、もっともっと知らない世界を見てみたい。
そんな気持ちで無我夢中で織っていました。

でも、今はけっこう変わって来ています。
デザインが浮かんだら、素直にそのまま織り上げるようになりました。
思い描いた色、サイズ、巻いた時の感じがどれだけ実際と同じなのか。
イメージを形にできているのか。そこに自然と向かうようになりました。
そう織ることが、心地よくなりました。

そうして、またふと思いました。

まったく先の見えない世の中で、誰もが不安と共に生きるようになっているのだから、せめて自分の物作りくらい、自分の思い通りにできたらいいよね、って。

「自由」という言葉で手を離すのではなくって、織りたい人にそっと寄り添い、想いや進みたい方向を汲み取りながら、その人自身の織りたいものが織れるように、手織りの優しさを感じてもらえるように、ゴーシュという場が在れたら、これほど幸いなことはないです。

織りたいもの、一緒に織れるようになりましょうね。