手織りという光

決断を瞬時に求められる現状で、それでもその時々のベストを見つけたいと思いながら、誰もが未経験の世の中に光を見つけたい、願わくば光になりたい、と思いながらの日々を重ねています。光になりたい、だなんて書いた自分でも大きなことを言ったものだ、と思うのですが、僕自身が手織りという光に導かれて今があると思うからこそ、その光を途絶えさせたくないし、次の世代に、社会に、世の中に、どこかでこの光を探している誰かに繋げたいと思ってしまうのです。
ものづくりは、生きていく光です。
生き物が生命をつなぐ、根元的なエネルギーのひとつだと思っています。
そのなかのひとつである手織りは、数千年も前から続く、それこそ、世界各地で交易が生まれるであろう前からそれぞれの地域で独自に今まで続く、土地と暮らしに根付いた手仕事だと思うのです。
そんな手織りを、伝統工芸とすることもなく、ある一定の興味がある人たちだけの特定の趣味とするでもなく、もっともっと、人の日常に寄り添った、身近な手仕事のひとつであることを伝えたい。そんな想いがゴーシュを始めた根底にあったのだと、あのとき、ゴーシュの物件と出会って僕は感じたのだと思います。

伝えるにあたって、僕も創り手の、織り手の、表現者の一人として、ゴーシュを運営したい、と思いました。ものづくりの最前線に向かうものとして、趣味の世界のその先にはこんな世界がありますよ、と僭越ながらもひとつの指針になるような、そんな役割を担えたら、という気持ちがありました。もちろん、いまでもあります。いろんな形で、それぞれの目指す形で、それぞれの心地いい形で手織りと関わっていける。そんな環境を創りたい、と思っています。
手織りをしたい。
手織りをしてみたい。
そんな方の受け皿でいたい。
ほんとのほんとうに、ゼロからイチの入り口になりたい。
そして、現代社会で手織りを続けられる環境と仕組みを形作りたい。

現代社会の根幹が揺らぐ今であっても、この想いは変わりません。
改めて、自分の根っこと向き合っています。